「仕事のメールを下書きさせたいけど、これって情報漏洩にならない?」
「部下がChatGPTを使っているみたいだけど、ウチの会社の機密データ、大丈夫かな……」
業務効率化の救世主として、職場での利用が当たり前になってきたChatGPT。
でも、エンターキーを押すその瞬間に、ふと背筋が凍るような不安に襲われたことはありませんか?
その直感、セキュリティのプロから言わせていただくと、大正解です。
結論からズバリ申し上げます。
ChatGPTは、初期設定のままだと「あなたが入力したデータを、AIが賢くなるための教材としてガッツリ学習する」仕様になっています。
つまり、何も対策せずに「新製品の未発表スペック」や「顧客との会議録」を入力することは、「どうぞ、この情報を世界中のユーザーへの回答に使ってください」と差し出しているのと同じことになりかねないのです。
「えっ、もう手遅れ!? どうしよう……」
と、焦ってブラウザを閉じようとしたあなた。
安心してください。まだ間に合います!
OpenAI社は、そんな私たちのために、データを学習させないための「オプトアウト(拒否)」という仕組みをちゃんと用意してくれています。
この記事では、セキュリティの最前線に立つ私が、あなたの会社の「信頼」と「知的財産」を守るための設定方法を、パソコンが苦手な方でも絶対に迷わないよう、画像を見なくてもできるレベルで徹底的に噛み砕いて解説します。
無料版での設定から、法人プラン(Team/Enterprise)の導入判断、さらには社員に守らせるべきガイドラインまで。
これを読み終わる頃には、あなたは「ただのAI利用者」から、「AIを安全に使いこなすセキュリティリーダー」へと進化しているはずです。
さあ、コーヒーでも飲みながら、一緒に鉄壁の守りを固めていきましょう!
【お急ぎの方へ:この記事の結論】
- ✅ すぐやるべきこと:無料版・Plus版ユーザーは、設定の「Data Controls」から学習をOFFにしてください(手順へジャンプ)。
- ✅ 法人の最適解:業務利用なら、デフォルトで学習されない「Teamプラン」以上が必須レベルです(プラン比較へ)。
- ✅ APIは安全:システム開発で使うAPI経由のデータは、初期設定で学習されません。
※この記事は、法人のIT担当者様がそのまま社内マニュアルとして使えるレベルの深さで、最新の仕様を網羅しています。
そもそも「ChatGPTの学習」とは?なぜオプトアウトが必要なのか
設定作業に入る前に、ちょっとだけ「敵(リスク)」の正体を知っておきましょう。
「なんでわざわざ設定しないと学習されちゃうの?」
「学習されると、具体的にどうなるの?」
ここを曖昧にしたままマニュアルだけ渡しても、現場の社員は「面倒くさいからいいや」と設定をサボってしまいます。
リスクの本質を理解することが、セキュリティ対策の第一歩です。
生成AIにおける「学習(Training)」の仕組み
ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)は、とてつもない量のテキストデータを読んで勉強した「物知り博士」のようなものです。
この博士の学習プロセスには、大きく分けて2つの段階があります。
- ① 事前学習(Pre-training): 基礎知識を詰め込む段階。
- ② 事後学習(Fine-tuning): ユーザーとのやり取りを通じて、より賢く、自然な受け答えができるように調整する段階。
私たちがチャット画面に入力したデータが使われる可能性があるのは、主に後者の「② モデルの改善・再学習」のフェーズです。
わかりやすく例えるなら、あなたがChatGPTにした質問や相談は、「AI博士を育てるための新しい教科書」として再利用される可能性がある、ということです。
もし、あなたが「弊社の極秘プロジェクトXの予算案について相談したいんだけど……」と入力し、そのデータが「教科書」として採用されてしまったら?
将来的に、競合他社の社員が「プロジェクトXについて教えて」と質問した時、AI博士が「ああ、それなら予算はこれくらいだよ」と、学習した知識を披露してしまうリスクが、理論上ゼロではないのです。
これが、生成AIにおける「学習リスク」の正体です。
実際に起きた情報漏洩の懸念事例
「そんなの、映画の中だけの話でしょ?」
いいえ、現実に起きているんです。
生成AIブームの初期には、世界的な大手企業で、以下のようなヒヤリハット事例が報告されています。
実際にあった怖い話
- コード流出疑惑: エンジニアがバグ修正のために社外秘のソースコードを貼り付け、それが学習データとして吸い上げられた可能性が指摘された。
- 議事録の漏洩: 会議の録音データを文字起こしし、要約させるために全文をペースト。そこには未発表のM&A情報が含まれていた……。
こうした事故を防ぐために必要なのが、「私のデータを教科書に使わないで!」と宣言すること。
それが「オプトアウト」なのです。
オプトアウト設定がもたらす効果
オプトアウト設定を有効にすると、あなたが入力したプロンプト(指示文)やアップロードしたファイルは、OpenAIのモデル改善プロセスから除外されます。
これにより、あなたの機密情報がAIの知識の一部として定着することはなくなります。
⚠️ ここだけは注意!
「学習されない」ことと、「データが保存されない」ことはイコールではありません。
オプトアウトしていても、「不正利用の監視(Abuse Monitoring)」のために、データはOpenAIのサーバーに一定期間(通常30日など)保持される場合があります。
あくまで「AIの頭脳には入れないよ」という約束であって、「サーバーに痕跡も残さない」わけではない点を理解しておきましょう。
【比較表】ChatGPTにおける3つのデータ保護レベル
「ChatGPT」と一口に言っても、実は利用するプランや方法によって、守りの堅さが全然違うんです。
あなたの今の使い方はどれに当てはまりますか?
まずは以下の比較表で、自分の立ち位置を確認してください。
| 方式 | 対象プラン | 設定の要否 | 特徴・メリット |
|---|---|---|---|
| ① 設定でのオプトアウト | Free / Plus (個人版) |
手動設定が必要 | 誰でも今すぐ無料でできる。 ただし、履歴機能が制限される場合がある。 |
| ② Team / Enterprise | 法人向け | デフォルトでOFF | 最初から学習されない安心仕様。 履歴も残せて便利だが、コストがかかる。 |
| ③ API利用 | 開発者 / 法人 | デフォルトでOFF | システム連携用。チャット画面とは別物。 原則学習されない。 |
個人利用や、とりあえず小規模で試している段階なら「① 設定でのオプトアウト」でOK。
会社として本格導入するなら、管理の手間とリスクを考えて「② Team / Enterprise」を契約するのが、賢い大人の選択です。
では、ここから具体的な設定手順を、画面を見ながら操作しているつもりで解説していきますね!
実践ガイド①:ブラウザ版・アプリ版でのオプトアウト設定手順
まずは、最もユーザーが多い「無料版(Free)」や「個人有料版(Plus)」を使っている方向けの設定です。
PCとスマホ、両方のやり方を載せておくので、今使っているデバイスに合わせて進めてください。
PCブラウザ版の設定手順(2024年〜最新UI対応)
仕事中にPCで使っている方は、今すぐ別タブでChatGPTを開いて、一緒にやってみましょう。
3クリックで終わりますよ!
- 画面右上のアイコンをクリック
画面の右上(バージョンによっては左下)にある、自分のアイコンをクリックします。 - 「Settings(設定)」を選択
メニューが出てくるので、歯車マークの「Settings」をクリックして設定画面を開きます。 - 「Data Controls(データコントロール)」を選択
設定メニューの中に「Data Controls」という項目があります。ここがセキュリティの司令塔です。
(日本語だと「データ制御」と書かれていることもあります) - 「Improve the model for everyone」をオフにする
ここが運命の分かれ道!
「Improve the model for everyone(すべての人のためにモデルを改善する)」、または「Chat History & Training」というスイッチがあります。このスイッチを、迷わずオフ(グレーの状態)にしてください。
これで、あなたのチャットデータが学習に使われることはなくなりました。
最近のアップデートで、画面左上のモデル選択メニューから「Temporary Chat(一時的なチャット)」を選べるようになりました。
これを選ぶと、シークレットモードのように「その場限りの会話」になり、履歴にも残らず、学習もされません。
「設定を変えるのは面倒だけど、この一件だけは機密情報!」という時にサッと使える裏技です。
スマートフォンアプリ版(iOS / Android)の設定手順
移動中にスマホでChatGPTを使うこと、ありますよね。
PCで設定してもスマホには反映されない(端末ごとの設定になる)場合があるので、必ずアプリ側でも確認しておきましょう。
- メニューバーを開く
画面左上の二本線アイコンをタップして、サイドバーを出します。 - 「Settings」へ進む
下の方にある自分のアイコンの横の「…」や「Settings」をタップ。 - 「Data Controls」をタップ
PC版と同じですね。ここをタップします。 - スイッチをオフ!
「Chat History & Training」などの項目をオフにします。
【重要】設定後の「副作用」について
「よし、これで安心!」
と思ったあなたに、一つだけ残念なお知らせがあります。
無料版やPlus版でこの「学習させない設定」をオンにすると、副作用として「過去のチャット履歴」が見られなくなる(保存されなくなる)ことが多いんです。
「えー! さっきの会話の続き、明日もやりたいのに!」
そうなんです。不便ですよね……。
でも、セキュリティの専門家として、心を鬼にして言わせてください。
「利便性と安全性は、トレードオフ(どちらかしか選べない)の関係」なんです。
業務で機密情報を扱う以上、履歴の便利さを捨ててでも、「学習させない」ほうを選ぶのが正解です。
もし、「履歴も残したいし、学習もさせたくない!」というワガママ(失礼!)を叶えたいなら、後で紹介する法人プランを検討してください。
そこなら、お金の力で両方を解決できますから(笑)。
実践ガイド②:プライバシーポータルからのオプトアウト申請
「スイッチ一つで設定完了なんて、本当に信用していいの?」
「過去に入力しちゃったデータも含めて、私のデータには一切指一本触れないでほしい!」
そんな慎重派のあなたには、OpenAIが用意している「Privacy Request Portal(プライバシーリクエストポータル)」からの申請をおすすめします。
これはブラウザの設定ではなく、法的な権利に基づいて「私のデータを使わないで」とOpenAI社に直接申し入れる、より強力な手続きです。
申請の手順
- 「Privacy Portal」へアクセス
「OpenAI Privacy Request Portal」で検索するか、ヘルプセンターから飛びます。 - 「Make a Privacy Request」をクリック
リクエストボタンを押します。 - 「Do Not Train on My Content」を選択
ここ重要です。「私のコンテンツでトレーニングしないでください」という項目を選びます。 - メール認証
ChatGPTのアカウントで使っているメールアドレスを入力すると、確認メールが届くので承認します。
これをやっておけば、アプリの設定スイッチに関わらず、アカウントレベルで強力に「学習拒否」が適用されます。
従業員全員にこの申請をさせることをルール化している企業もあるくらい、信頼性の高い方法ですよ。
法人利用の最適解:Teamプラン・Enterpriseプランの導入
ここまで個人の設定を見てきましたが、もしあなたが企業のIT担当者や経営者なら、正直なところ「Teamプラン」以上の契約を強く、強く推奨します。
なぜか?
それは、無料版と法人プランでは、セキュリティの「設計思想」が根本から違うからです。
「デフォルトで学習しない」という安心感
無料版やPlus版は、「みんなでデータを持ち寄って、AIを賢く育てよう!」という設計です。
だから、初期設定は「学習ON」なんです。
対して、TeamプランやEnterpriseプランは、「業務でバリバリ使う道具」という設計です。
だから、初期設定で「学習OFF」になっています。
この違い、めちゃくちゃ大きくないですか?
「新入社員のA君、設定変更するの忘れてないかな……」
なんてハラハラする必要が一切なくなるんです。
投資対効果(ROI)を考えてみよう
Teamプランは、Plus版より月額数ドル高い程度(ユーザーあたり月額25〜30ドル程度)です。
このわずかな差額で、以下のメリットが手に入ります。
- ✅ 全従業員の学習除外(デフォルト)
- ✅ 履歴機能はそのまま使える(便利!)
- ✅ データは企業の所有物として守られる
万が一、情報漏洩事故が起きた時の損害賠償や、失う社会的信用を考えれば、このコストは「あまりにも安すぎる保険料」だと言えるでしょう。
開発者・システム連携:API利用時のデータ取り扱い
「ウチはChatGPTの画面じゃなくて、自社システムに組み込んで使ってるよ」
という場合、「OpenAI API」を使っていますよね。
実は、API経由のデータ取り扱いは、Web版とは全く別ルールなんです。
APIは「学習利用なし」が標準です
ここ、テストに出ます!(笑)
2023年3月以降、OpenAI APIを通じて送信されたデータは、デフォルトでモデルの学習には使用されません。
OpenAIも、「企業がAPIを使うときは機密情報を流すことが多い」と理解しているため、ビジネス利用を促進するためにこのポリシーを採用しました。
なので、社内チャットボットなどを開発している場合は、特別な設定をしなくても基本的には安全です。
(※わざわざ「学習していいよ(オプトイン)」という設定をしない限り大丈夫です)
さらに鉄壁にする「Zero Data Retention」
金融機関や医療機関など、「データがサーバーに一瞬でも残るのは許されない!」という超厳格な業界向けに、「Zero Data Retention(データ保持ゼロ)」という申請オプションもあります。
通常は不正検知のために30日間残るログすらも、処理が終わった瞬間に完全消去してくれる設定です。
もしあなたの会社がそこまでのセキュリティを求めているなら、OpenAIの営業担当に問い合わせてみる価値アリですよ。
リスク管理:企業が策定すべき「生成AI利用ガイドライン」
最後に、一番大事なことを言います。
どんなにシステムでカギをかけても、使う人間がカギを開けてしまったら意味がありません。
ツールの設定とセットで、必ず「人間のルール(ガイドライン)」も整備しましょう。
1. 入力していいデータ・悪いデータの線引き
「気をつけて使いましょう」なんて精神論は通用しません。
具体的に書きましょう。
- ⭕️ OK: 時候の挨拶文の作成、一般的なプログラミングコードの生成、公開済みのプレスリリースの要約
- ❌ NG: 顧客の氏名・電話番号(個人情報)、未公開の決算数値、社内システムのパスワード
2. マスキング(匿名化)のテクニック
どうしても具体的な事例で相談したい時は、固有名詞を伏せる「マスキング」を徹底させます。
「株式会社AのB部長が……」
↓
「ある取引先の担当者が……」
これだけで、万が一データが漏れても、具体的な被害は防げます。
これを社員研修でロールプレイングさせるだけでも、セキュリティ意識は劇的に向上しますよ!
よくある質問(FAQ)
最後に、現場でよく聞かれる質問にQ&A形式でお答えします。
Q1. オプトアウトすれば、機密情報を入力しても100%安全ですか?
A. 100%とは言い切れません。
オプトアウトはあくまで「AIの教材にしない」設定です。通信経路での盗聴や、あなたのPC自体がウイルス感染しているリスク、アカウント乗っ取りのリスクまでは防げません。
「国家機密」レベルの超重要データは、そもそも外部サービスに入力しないのが鉄則です。
Q2. 無料版でオプトアウトすると履歴が消えて不便すぎます……。
A. お金を払うか、不便を我慢するか、二つに一つです。
厳しいようですが、無料版は「学習データを提供する代わりにタダで使わせてあげる」というモデルです。
履歴を残しつつ守りたいなら、Teamプランへの課金を「必要経費」として割り切りましょう。
Q3. 「Custom Instructions(カスタム指示)」に入力した情報は?
A. 全体の設定に連動します。
オプトアウト設定(Chat History & Training OFF)にしていれば、カスタム指示の内容も学習されません。
逆に、設定がONのままだと、あなたの職務経歴や好みが重点的に学習される可能性があります。注意してくださいね。
まとめ:攻めのAI活用は、鉄壁の守りから
ここまで、約15,000文字分(くらいの熱量で!)徹底解説してきましたが、いかがでしたか?
ChatGPTは、私たちの仕事を劇的に楽にしてくれる魔法のツールです。
でも、その魔法は「正しく安全に使った場合」にしか効力を発揮しません。
今回のポイントをおさらいしましょう。
✅ 今すぐやるべきアクションリスト
- 確認: 今すぐChatGPTの設定画面を開き、「Data Controls」をチェック!
- 選択: 履歴が必要なら、法人プランの導入を上司に提案!
- 教育: 「入力していいデータ」のルールをチームで共有!
AIの進化は止まりませんし、セキュリティの常識も日々変わっていきます。
でも、「自分のデータは自分で守る」という原則だけは、いつの時代も変わりません。
この記事を読み終えたら、まずはご自身のスマホとPCの設定を確認してみてください。
そして、明日の朝会で「うちのAI設定、大丈夫?」と、周りのメンバーに声をかけてあげてください。
そのたった一言が、あなたの会社の未来を救うことになるかもしれません。
それでは、安全で快適なAIライフを!👋✨


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