【年代別】高齢者のための年賀状じまい文例集｜70代・80代の書き方

「そろそろ、年賀状を辞めてもいいかしら……」

12月が近づく足音を聞くたびに、そんな思いが頭をよぎることはありませんか？

 

かつては年末の楽しみだった年賀状作りも、70代、80代と年齢を重ねるごとに、宛名を書く手の震えや、住所録を確認する目の疲れが、「楽しみ」を少しずつ「負担」に変えていってしまうものです。

「出さないと失礼になる」「相手に申し訳ない」……。そんな風に、真面目で優しいあなただからこそ、一人で悩んでこられたのではないでしょうか。

 

 

この記事では、70代・80代の方が周囲に不快な思いをさせず、むしろ「今までありがとう」と温かく受け止めてもらえるための文例とマナーを、どこよりも詳しく解説します。

あなたの心の重荷を軽くし、清々しい気持ちでお正月を迎えられるお手伝いをさせてくださいね。🥰

 

 

なぜ今、高齢者の間で「年賀状じまい」が急速に広がっているのか？

「年賀状じまい」という言葉が一般化して久しいですが、特に70代、80代の方々の間でこの動きが加速しているのには、深い理由があります。

それは単なる「面倒だから」という理由だけではありません。人生の最終盤をどのように生きたいかという、深い哲学が込められているのです。

 

1. 身体的な変化への自然な対応

まず避けられないのが、加齢による身体的な変化です。視力の低下（老眼や白内障）、手指の関節の痛み、長時間机に向かう体力の減退……。これらは、どんなに気力が若々しくても訪れる、自然なサインです。

「一枚一枚、丁寧に手書きしたい」という理想があるからこそ、それができなくなった自分にストレスを感じてしまう。そんな真面目な方ほど、年賀状じまいによって「義務感」から解放されるメリットは大きいのです。

 

2. 人間関係の「量から質」への転換

70代を過ぎると、疎遠になっていた旧友や、形式的な付き合いだけの知人との「義理」のやり取りよりも、今本当に声を聞きたい人、会いたい人との「時間」が大切になってきます。

年賀状を辞めることで、実は本当の絆が見えてくることもあります。ハガキのやり取りはなくなっても、電話やLINEで繋がれる人こそが、あなたの余生を彩る本当の友人なのです。

 

3. 遺された家族への「終活」としての配慮

「自分がもしもの時、この大量の住所録を子供たちが整理するのは大変だろうな……」。そんな風に考え、自ら人間関係の整理を行う方が増えています。

自分が動けるうちに、感謝の気持ちを込めて「けじめ」をつけておく。これは、遺された家族への最後にして最高のプレゼントとも言える、深い愛情の形なのです。

 

【保存版】年賀状じまいを切り出す「最高のタイミング」とは？

「辞めます」と伝えるのは勇気がいりますよね。でも、日本の伝統的な「長寿の節目」や「社会的な区切り」を利用すれば、相手も「それなら仕方ないね、お疲れ様」と納得しやすくなります。

以下の表で、高齢者の方が年賀状じまいを検討すべき主要なタイミングをまとめました。

表1：年賀状じまいを切り出すタイミングと納得の理由

タイミング 具体的な年齢・状況 相手への伝わり方・納得度
古希・喜寿（70代） 70歳、77歳のお祝いの年 「人生の節目としての整理」として非常にスマート。
傘寿・米寿（80代） 80歳、88歳のお祝いの年 「高齢による引退」として最も自然で、反対されない。
定年・完全引退 仕事や地域役員を辞めた時 「社会的な役割の区切り」として説明がしやすい。
健康上の変化 入院、手術、視力・体力の衰え 「無理をさせたくない」という相手の気遣いを引き出す。
生活環境の変化 引っ越し、施設への入居 「新しい生活への整理」としてポジティブに伝えられる。

 

特に「傘寿（80歳）」は、周囲も高齢であることを十分に認識しているため、一切の角を立てずに辞めることができる「黄金のタイミング」と言えるでしょう。👍

 

相手を不快にさせない！円満な年賀状じまい「3つの鉄則マナー」

「あの人に拒絶された！」と相手に思わせてしまうのが、年賀状じまいにおける最大の失敗です。そうならないために、プロの視点から3つの絶対的なルールをお伝えします。

 

鉄則1：最初に「圧倒的な感謝」を述べる

文章の冒頭は、必ず感謝から始めてください。「長い間、私の稚拙な年賀状にお付き合いいただき、本当にありがとうございました」という一言があるだけで、相手の心はフワッと緩みます。

人は「認められ、感謝されている」と感じれば、その後の要求（お断り）を受け入れやすくなる心理（返報性の原理）があるからです。

 

鉄則2：辞める理由は「自分自身の事情」に限定する

「時代の流れで年賀状は古いと思うので」といった、相手の価値観を否定するような書き方はNGです。あくまで「私が高齢になったため」「私が文字を書くのが難しくなったため」と、主語を自分にしてください。

さらに、「どなた様にも一律で控えさせていただくことにしました」という一言を添えるのが、最大の配慮です。これにより「自分だけが嫌われたわけではない」という安心感を与えられます。👮‍♀️

 

鉄則3：交流の「代わりの窓口」を提示する

もし、その方との縁を切りたくないのであれば、「これからはお電話で近況を聞かせてください」「LINEで孫の写真を見せ合えたら嬉しいです」と、代替手段を書き添えましょう。

年賀状という「手段」を辞めるだけで、「関係」は続くのだと明確に示すことが、円満解決の最大のポイントです。🥰

 

【年代別・文例集】そのまま使える！失礼のないテンプレート

ここからは、ご自身の年齢や状況に合わせてカスタマイズできる、具体的な文例をいくつかご紹介します。

ポイントは、形式的な文章の中に、少しだけ「あなた自身の言葉」や「体温」を混ぜることです。

 

70代向け：古希や喜寿を機にする「前向きな」文例

70代はまだまだ元気な方も多いですが、将来を見据えた「賢い選択」として伝えましょう。

【文例A：人生の節目を強調】

謹んで新春のお慶びを申し上げます。

皆様におかれましては 健やかにお過ごしのこととお慶び申し上げます。

さて 私も本年をもちまして古希（70歳）を迎えることとなりました。

これを機に 自身の生活を見直し 誠に勝手ながら本年をもちまして どなた様へも年賀状による年始のご挨拶を控えさせていただくことといたしました。

長きにわたるご厚情に深く感謝申し上げます。

今後は電話やメールなどで 変わらぬお付き合いをいただければ幸いです。

 

80代向け：身体的な負担を理由にする「誠実な」文例

80代は、無理をして続けているのではないかと心配させないよう、素直な現状を伝えましょう。

【文例B：健康・衰えを理由にする】

新春のお慶びを申し上げます。

旧年中は大変お世話になり ありがとうございました。

さて 私も本年で傘寿（80歳）を迎えることとなりました。

近年は視力の衰えもあり 思うように文字を書くことが難しくなってまいりました。

そのため 本年をもちまして どなた様へも年始のご挨拶を最後とさせていただきたく存じます。

勝手なお願いではございますが 何卒ご容赦ください。

これまでの素晴らしいご縁に 心より感謝いたしております。

寒い日が続きますが どうぞご自愛ください。

 

60代・全高齢者向け：時代の変化を味方につける「スマートな」文例

年齢を前面に出したくない場合や、デジタル移行をスムーズに進めたい場合に有効です。

【文例C：ライフスタイルの変化】

明けましておめでとうございます。

皆様には良き新年をお迎えのことと拝察いたします。

さて 私儀 このたび還暦（あるいは定年）を迎え 身の回りの整理を少しずつ進めております。

その一環として 昨今の社会情勢も鑑み 年賀状によるご挨拶も本年をもちまして一段落させていただくことにいたしました。

長い間 変わらぬお付き合いをいただき 誠にありがとうございました。

今後はLINEなどを通じて より軽やかにお付き合いをさせていただけますと幸いです。

 

【比較表】相手との関係性で使い分ける！理由の伝え方

年賀状じまいの理由は、相手との距離感によって使い分けるのが「上級者」のやり方です。一律に同じ文章にするのではなく、親しい友人にはもう少し踏み込んだ表現をしてみましょう。

表2：相手別・おすすめの理由とフレーズ比較

相手との関係 おすすめの理由 添えるべき「一言」 相手の受け止め方
親しい親友 デジタル移行・電話 「これからはもっと声で話しましょう！」 距離が近くなったと感じる。
元上司・恩師 人生の節目・古希など 「けじめとして筆を置く決意をしました」 潔い決断として尊敬される。
疎遠な知人 高齢・健康上の理由 「どなた様にも一律で失礼しております」 「仕方ないね」と納得。
親戚・身内 終活・身の回りの整理 「元気なうちに片付けをしたくて」 安心感と協力的な姿勢。

 

このように、相手に合わせて少しだけ言葉を添えるだけで、あなたの誠実さが何倍にもなって伝わりますよ。😊

 

年賀状を辞めた後の「交流」をどう豊かにするか？

年賀状じまいは、決して孤独になるための儀式ではありません。むしろ、古い形式を捨てることで、新しい繋がりが生まれるチャンスです。

具体的に、どのような交流方法があるか、70代・80代の方でも実践しやすいアイデアをご紹介します。

 

1. LINE（ライン）での写真共有

最近の高齢者の方は、スマートフォンを使いこなしている方が非常に多いです。年賀状は一年に一度ですが、LINEなら「今日咲いた庭の花」や「散歩道の景色」をその場で送れます。

「年賀状はやめたけど、LINEなら毎日繋がっている」という関係は、孤立を防ぐ最高の防波堤になります。

 

2. 「電話」という最強のコミュニケーション

文字を書くのが大変なら、話せばいいのです。お正月に「年賀状を辞めたから、声を聞きたくなって電話したよ」と言われれば、相手はハガキよりも何倍も嬉しいはずです。

声のトーンや笑い声は、どんな綺麗な年賀ハガキよりも、あなたの「元気」を伝えてくれます。

 

3. 「寒中見舞い」でのさりげないフォロー

「辞めます」と言っても、忘れて送ってくれる方は必ずいます。そんな時は無視せず、松の内（1月7日）が過ぎてから、寒中見舞いを出しましょう。

「年賀状は辞めさせていただきましたが、お葉書をいただき嬉しかったです。本年も変わらぬお付き合いをお願いします」という内容で送れば、気まずさは一切残りません。👍

 

ご家族の方へ：親に「年賀状じまい」を勧める時の優しい声かけ

この記事を読んでいるのが、高齢のご両親を持つお子さん世代であれば、ぜひサポートしてあげてください。

高齢者にとって、年賀状を辞めることは「自分の老化を認めること」でもあり、大きな葛藤を伴います。

 

 

代わりに、「お母さんが年末ゆっくり過ごせるように、今年は一緒に『最後の年賀状』の準備をしない？ 感謝の気持ちが伝わる素敵な文面を一緒に考えよう」と、「一緒に卒業を祝う」スタンスで接してあげてください。

パソコンが使えない場合は、代筆したり、スマホの設定を手伝ってあげるだけでも、親御さんの心の負担は劇的に軽くなります。🥰

 

【最終確認】失敗しないための「年賀状じまい」チェックリスト

最後に、準備に漏れがないか確認しましょう。これをクリアすれば、あなたの年賀状じまいは完璧です！

表3：年賀状じまい実行チェックリスト

ステップ 確認内容 完了！
① リストアップ 誰に辞める旨を伝えるか、住所録を整理したか。 □
② 文面の確定 年齢や状況に合った、失礼のない文面を選んだか。 □
③ 代替手段の用意 電話番号やLINEなど、今後の連絡先をメモしたか。 □
④ 投函の準備 12月25日までに届くよう、余裕を持って発送できるか。 □
⑤ 心の準備 反応がなくても「自分の決断」を尊重する覚悟を持ったか。 □

 

まとめ：年賀状じまいは「人生の新しい幕開け」です

年賀状じまいを考えることは、決して寂しいことでも、後ろ向きなことでもありません。これまでの長い人生で築いてきた数多くの縁を大切に振り返り、一つひとつに「ありがとう」を告げる、とても神聖な儀式なのです。

70代、80代という素晴らしい年齢に達したからこそ、これからは形式に縛られず、自分が本当に心地よいと感じる時間の使い方を選んでください。

 

「今まで頑張って書き続けてきた自分」を、まずは褒めてあげてくださいね。あなたのその誠実さは、年賀状を辞めた後も、必ず周囲の人々に伝わっています。

この記事で紹介した文例が、あなたの新しい一歩を後押しする小さなきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。

清々しい気持ちで、静かで温かな新年を迎えられることを、心からお祈りしております。🙏✨

 

もし、具体的なハガキのデザインや、LINEへの具体的な移行方法についてもっと詳しく知りたいという方がいれば、ぜひ次回以降の記事もチェックしてくださいね！